2020年11月16日

シニア演劇ネットワークの取材受けました!

東京のシニア劇団「かんじゅく座」の主宰鯨エマさんが主なって全国のシニア劇団の有志達で

出来ている組織ですが、新聞で発行されていたのを、今回からメルマガとして会員たちに届けられます。

その第1号の特集記事のインタビューをZOOMで受けました。

コロナ禍でも安全で東京からでも顔を合わせながらの取材で、便利ですね♬

こうやって・・必要に応じて社会を取り巻く環境や暮らし方も変わっていくのですね。

感慨深いことです。

記事は下に貼り付けますが、シニア演劇ネットワークのホームページも、興味があれば覗いてみてください。

シニア演劇ネットワーク ホームページ
http://s-engeki.net/



シニア演劇ネットワーク通信
◆◆◆━━━━毎月1日・16日発行
第10号 2020.11.16.

こんにちは。シニア演劇ネットワークです。いかがお過ごしですか?
開封確認のご協力、ありがとうございました。

さぁ今回も、お顔と舌の運動、早口言葉から♪
毎日練習して舌と唇の動きを滑らかにしましょう。

★「大皿の上におおよもぎ餅 小皿の上にこよもぎ餅」× 3回
★「摘出手術中普通シチュー食う?」× 3回
★「あぶりカルビ」× 10回

おなかが空いてきますね。ぜひチャレンジしてみてください!


━━目 次━━━━━━━━━
1.全国シニア劇団探訪/劇団「すずしろ」(箕面市)インタビュー
2.シニアの花道同伴日記
3.公演情報
4.次号予告
5.編集後記
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◆1◆ 全国シニア劇団探訪/劇団「すずしろ」(箕面市)インタビュー
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大阪・箕面市で活動する劇団「すずしろ」代表の秋田啓子さんにお話を伺いま
した。インタビューをお願いすると、「私は77歳、夫は79歳。この半年入退院
を繰り返す夫の老々介護の日々(-_-;)(笑)。そんな中、ますます「すずしろ
活動」は私のエネルギー源となっております(笑)」との返信が。短い文章の
中に、絵文字と「笑」の文字がふたつも!
ホームページ( http://suzushiro-minoh.com/ )のお写真からも明るいお人柄が
伝わってきます。

Q:とても充実したホームページですね。
A:ホームページは2018年に2回目のニューヨーク公演を企画したときに、い
ろいろ知っていただく場所がいるなぁということで立ち上げました。団員の娘
さんがそういった会社に勤めていらして作っていただけたんです。内容やコメ
ントは公演ごとに更新していくペースで、私が中心になって書いたり劇団員に
書いてもらったりして更新をお願いしています。ホームページからリンクして
いるブログ『劇団「すずしろ」日記』は、1回目のニューヨーク公演がきっか
けで毎週私が書いてもう10年になります。ホームページもブログも、最初はま
わりにやれやれと勧められてイヤイヤ始めたんですけど(笑)、やりだすとき
っちりしていないとイヤなので続けています。今では日誌みたいになっていて
いいかなぁ、と。

Q:秋田さんは2004年の劇団の立ち上げメンバーでいらっしゃいますね。
A:それまでは児童劇団で子どもたちとお芝居をしていたのですが、58歳の時
に更年期の症状が一気にきて自分の老いを感じたんです。その時から「60歳以
上の劇団を作りたい」という想いがふつふつと沸いてきて、同じ思いを持った
人はいっぱいいるだろうなと思っていたんだけど、どうやって探していいかわ
からない。当時箕面市の市民講座に市民が企画を持ち込んでよいという窓口が
あって、私個人の思いで企画書をつくって持っていったらたまたま選ばれて。
「60歳からの演劇入門」ということでワークショップの参加者を募集したら、
定員20名のところに3倍くらいの応募があったんです。お芝居はやりたいけれ
ど若い人とやるのは億劫だし、60歳以上の人しかいないというのが安心だった
ようです。ワークショップを経て劇団を立ち上げるということは企画の時から
決めていたので、20名の参加者に「劇団を作ろうと思うのだけれど参加しませ
んか」と最終回のワークショップでお声がけさせていただいたら、16名の方が
「やります!」と集まって、そこから団費を決めたり、稽古日をどうしようと
か先生を呼んでくるのはどうしようとか、みんなで考えながら作っていきまし
た。劇団のホームページにも「すべての企画運営は団員の総意で決定します」
と書いているのですが、それは当初からの意志でありそういう劇団を作りたか
ったんです。今でも年1回総会をして、持ち回りで総務とか経理とかとか書記
とか役割を決めて運営をします。私はたまたま便宜上代表になっていますが、
なんの特権もなく(笑)、皆で決めて皆で運営しています。だからセリフを言
いたかっただけの人は、こんなつもりじゃなかったと辞めていきます。
「劇団すずしろ」の特徴としては、中学・高校の部活みたいに、顧問がいてキ
ャプテンがいて部員がいて・・・顧問が、指導をしてくださっている倉田操(みさ
お)先生、部長が私で、部員である劇団員みんなで決めて運営している。劇団
員もお稽古ごとをしているという感覚よりは、自分で劇団を運営しているとい
う自覚が強いと思います。面倒くさいこともありますがそこに喜びを見出す人
が残っていて、ふたたびの青春といった感じで本当の生きがいになっていると
思います。

Q:劇団員は現在何名で活動していらっしゃいますか?
27名、その内4名が休団中で、23名で活動しています。指導者の操先生がひと
りひとりのコミュニケーションをすごく大切にされる方で、25名を上限にして
います。そうはいっても、入団したいと言われると嬉しくなってついつい「ど
うぞ」と言ってしまい31人まで増えてしまったときもあるのですが。私たちと
しては、劇団を大きくするつもりもないですし、ひと部屋でいちどにコミュニ
ケーションをとりながらお稽古できる人数が、25人。休団中の4名は全員病気
が理由です。日本人の2〜3人にひとりは癌になるといわれますが、本当にみん
なよくこれだけ癌になれるなぁというくらい、その比率で癌になります。中に
は活動を辞める方もいますし、モチベーションになるからと4名は戻ることを
前提に休団して現在闘病中です。

Q:ホームページで、緊急事態宣言期間以外は変わらずお稽古をしていらっし
ゃったと拝見してすごいなと思っていたのですが、コロナを理由に活動自粛を
される方がひとりもいらっしゃらないんですね!
A:もちろん消毒・換気・マスクという基本的なことや、コロナ追跡機能のア
プリを読み込んだりといった対策はしています。当初コロナは過ぎ去るものだ
と思っていましたが、専門の方のお話を伺うと、だんだんこれは共生していか
なくてはならないものだとわかってきて。だったらリスクはゼロじゃないけれ
ど、すごく気を付けながら、やりたいことはやったほうが健全な暮らし方、生
き方なんじゃないかと。欠席者もほとんどなかったですよ。

Q:家族に反対される方とかいらっしゃらなかったのでしょうか?
A:もちろんあります。9月に無観客公演をしたときなどは公演が近づいてくる
と週2〜3回に稽古が増えて来るので、「おかあさん、いい加減にしときよ」と
(笑)。私らにしたら欠かせないライフワークなんですけど、家族から見たら
「せんでもええことして」と反対されるんです。ただ、劇団の一員になったら
自分がいないと公演を乗り越えていけないという自覚があるから、家族の機嫌
をとりつつ頑張って説得しています。明確にやりたいことが決まっているので、
やるべきことを判断しやすいんじゃないかと思います。自分にとってなにがど
れだけ大切かということがわかっていれば、たとえ家族の反対を受けたとして
も説得することをするし、自分が判断したことだったら後悔しない。そんな思
い=「すずしろイズム」が、劇団で活動している中に生まれてくるんだと思い
ます。

Q:すずしろさんの活動継続の秘訣を、メルマガをお読みの皆さんにお伝えし
たいと思います。今後の予定などありましたら教えてください。
A:12月にはクリスマス公演を配信で行います。40分くらいの短い作品をダブ
ルキャストで。シニア劇団の必須条件としていつもダブルキャストにしていま
す。自分の体調もそうですが、夫の病気を理由に、皆に迷惑をかけたくないか
らと最初から辞退するよりは、様々な事情を抱えながらもギリギリまで頑張れ
るサポート体制としてのダブルキャストです。実際のところ本番直前になにか
起こるということはなく、いつも案外乗り越えられて無事に終わっています。

ZOOMでのインタビューでしたが、とにかく声に、ことばに「力がある」秋田さ
ん、お話を伺っているうちに私もだんだん元気が出てきました。
ご協力ありがとうございました。


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◆2◆ シニアの花道同伴日記
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「劇団員はお客様?」
(シニア演劇ネットワーク理事長 鯨エマ)

ところかわればシニア劇団もかわる・・・・ということで、すずしろさんとは
志は同じでも運営体制がかなり違う、かんじゅく座の話です。
私が稽古場でよく使ってしまう言葉のひとつに「ここはカルチャーセンターじ
ゃない、劇団なんです」があります。月謝を貰っているのだから、習い事感覚
で言えば「お客様」かもしれません。でも、うちは違うと思っています。改め
てそのことを考え直す機会がありました。
今年4月。緊急事態宣言で舞台関係の仕事が尽くぶっ飛んだ私は、生活のため
にヘルパーの資格を振りかざし、近所のデイサービスにバイトの面接に行きま
した。引く手数多の業界です。人手が余っていることはまずないので、資格が
あって時間さえ合えば雇ってもらえるという良くも悪くも敷居の低い仕事です。
施設長がパンフレット片手に概要を説明をしてくださったとき、「とにかく接
客業ですから」と仰ったのです。「接客業なんですか?」と思わず聞くと、彼
は少し考えて、「そうですね、うちは接客です。サービス業です。ですから、
お客様が満足して帰っていただければいいんです」

なーるーほーどー!

ここで私のヘルパー経歴を日本の福祉事情とともに説明します。私が障がい者
のヘルパーとして働き始めたのは、今から20年前。障害者自立支援法ができて
まもなく、実家や施設で生活していた障がい者たちが、自由に住みたい街で生
活するためにヘルパー派遣を利用できるようになった、そんな頃でした。ヘル
パーの資格もいらなかったので、バイトで介助の仕事を選ぶ学生も多かったの
です。私が初めて仕事をさせてもらったのは埼玉県で、施設を飛び出してきた
ウェルドニッヒホフマン病(症)の女性2人が自分たちで立ち上げた事業所で
した。私も当時は、資格も経験もなかったのですが、仕事は全て代表である障
害当事者から習いました。そこでは介助の知識、技術は求められませんでした。
例えば料理、掃除が下手くそでもOK。指示する障がい者自身(利用者)が料
理のレシピや掃除の仕方を調べて頼むことが必要でした。その5年後に、自宅
から自転車で通える新宿区の事業所で、グループホーム勤務を経験しましたが、
ここでもヘルパーとしての仕事はほぼ同じで、自立の準備という名目のホーム
であることもありましたが、利用者さんたちはいつも「ここはホテルじゃない
んです、自分で指示してください」と教育されていました。買い物をしたい時
は「買い物してきて」ではなく、一緒に買い物に行くのです。ヘルパーは、理
不尽な要求を断ることもあったし、影武者的でありながら対等な存在でもあっ
たわけです。そういう土壌で20年アルバイトしてきた私が、今回初めて高齢者
のデイサービスの門戸を叩いたら、勝手がまるで違うのです。利用者はお客様。
ヘルパーは家事ができて当たり前。利用者である高齢者をいい気持ちにしてお
返ししなければ、デイサービスとしてはまずいんですね。当然のことのようで
すが、これはかなり感覚が違うことでした。ここで働いたら、私に足りないこ
とが学べるかも、と思いましたが、面接の最後になって時給が提示されると、
ほぼ最低賃金でした。ヘルパー制度は人手不足と賃金の安さを解消するために、
現在は資格取得が条件になっているのですが、資格を持っていても最賃と聞き、
結局ここで働くことは断念しました。施設長の言った「接客業」「サービス
業」という言葉がとても印象に残りました。

かんじゅく座には、かつて5〜6人のメンバーで構成される朗読チームがあった
のですが、積極的に取り組む人がいなくなってしまいクローズしました。読み
たいものを持ってきて欲しいというと、「何か用意してください」という具合
で、完全に受け身になってしまいました。あのときは、デイサービス化してい
たというか、お客様になっていたというか、とにかく主体性のないチームにな
ってしまっていました。
探る時期もあるでしょう。なにか夢中になれるものを見つけたい、という時も
あります。でも何度か舞台を踏んだ経験をした方から、やりたいものがない、
と言われた時、どう誘導していいやら、劇団の主宰者としては継続してゆく難
しさを感じました。あのとき、売り上げのため、団体維持のために続けるべき
か迷いましたが、ここで創作意欲のない状態を助長してはいけないかなと、チ
ーム解体を決意したのでした。結果、3名は退団、3名はかんじゅく座の演劇チ
ームに移籍して現在も活動を続けています。

カルチャーセンターには、カルチャーセンターの良さがあります。何より気軽
さ、時間内できちんと終わる、発表会があっても全ての受講者に平等に機会が
与えられるでしょうし、お金さえ払えば誰でもきちんと受け入れてくれます。
それに対して劇団は、配役の段階で不公平を感じる人もいるでしょうし、公演
が近づけば容赦なく延長稽古、苦しい思いをすることが多いかもしれません。
「産みの苦しみ」なのに、「お金払ってるのに、何でこんなに苦しいの」と思
ってしまったら最後。そもそも完成、完璧などあるのかないのかもわからない、
つかみどころのない活動です。

ならば、カルチャーではなく劇団を選んだ人は、何をモチベーションに続ける
ことができるのでしょう。その答えは、私の個人的な答えですが、「お客さん
を入れた劇場で舞台に立ったものだけがわかる」のです。本番まで続けること
ができずに辞めてしまう人には、わからないのです。

シニア劇団の運営は接客業ではなく、共同創作業だと思っています。客席に様
々な立場の人が来ることを想定しながら、様々なアイディアを寄せ合って、面
白いものを創るところです。受け身でいれば、ひとつの作品が終わった時にや
ることがなくなります。でも、主体的に創作していれば、何度同じ役で舞台を
踏んでも発見があるし、やり残しが必ずあります。また次を目指そうという気
にもなるでしょう。
コロナでお客様の前に立てる時間も限られてしまいました。ましてやリモート
では、劇場で共に創る充実感は今ひとつでしょう。だからこそ、貴重な創作時
間は、主体的に取り組みたい。そして、そういう意欲を起こさせる台本を書い
てゆきたいと、改めて思う今日この頃です。


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◆3◆ 公演情報
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★劇団「すずしろ」(大阪・箕面市)
クリスマス公演「扉をあけて」
12月18日(金)13時/15時
上演時間約40分のオリジナル作品をライブ配信で予定してます。
最新情報は、ブログ「すずしろ通信」で随時報告します。
http://suzushirodaikon.seesaa.net/

★劇団かぶつ(八丈島)
 12月学校公演、3月6日(土)おじゃれホール公演
 張り切って練習しています!(by演出・清水増子さん)

★半熟座とかんじゅく座ジョイント公演 アーカイブ配信視聴できます!
半熟座「ススメ 我らが半熟一座」構成・指導:小林真梨恵&関森絵美
https://www.youtube.com/watch?v=yNMq4TidTEQ&feature=youtu.be
かんじゅく座「ねこら!2020」作・演出:鯨エマ 
https://www.youtube.com/watch?v=-ivckEYwwew&feature=youtu.be

※公演は終了しました


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◆4◆ 次号予告 
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おかげさまで、機関紙からメルマガになって10号となりました。次号の発行は
12月1日、いよいよ師走です。

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posted by すずしろ at 19:21| Comment(0) | 稽古日誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする