*2010年6月19日*
エピソード@
個人的にメールするときには「マイ王子」と呼んでいるOさんは
英語のセリフに四苦八苦するすずしろにまるで白馬にまたがって
かけつけた王子さまのごとく突然すずしろに現れ出発までの数カ月を
時間を無理やり作って助けてくださった大恩人。
でも、「残念ながら都合が悪くてNYへは行けません。
頑張ってください」と見送られたのに、NYへついて3日目、
アッキーが毎朝水やフルーツを買いに行くちいさなお店で、
同じように朝食を買いに来たOさんを見つけたときには
あまりにびっくりして腹が立ち、「どうしてここに?!うそつき!
うそつき!」と小さいお店の中をぐるぐると追いかけまわした。
Oさんは逃げ回りながら不審がるレジの女性に流暢に英語で言い訳を
して「彼女はこの週末ブロードウエイで公演するんだ。だから観に来た」と笑いながら説明した。
3周ほど追いかけた私は気がすんで、びっくりは喜びに変わった。
2日間の本番をじっくりと見終えた彼はまた風のごとく一足先に帰っていった。ありがとう! マイ王子!
明日は千里中央の彼のお店で慰労会。
すずしろのメンバーとも帰国後初めて顔を合わす。
エピソードA
今回一番気がかりだったのは出発1カ月前になって
声が出なくなったサッチーのことだった。
声を使わないことが一番と医者に言われた彼女は
稽古には来ても見学だけでほとんど練習できなかった。
そのうえめまいがはじまりメニエールかもしれないということだった。
彼女は操先生に出発前「リハーサルで先生がだめだと判断したら
役を降ります」と言っていた。
NYに到着してからは徐々に声も回復してなんとかいけそうな本番前夜
彼女はタクシーを降りるときに思いっきりドアに顔をぶつけてしまい、
おでこが派手に腫れてしまった。なんと運が悪いんだ!
いつでもどこでも間に合うヤッチーが冷えピタを持ってきてくれた。
どうぞ、たいしたことがありませんように!と祈った。
幸いおでこはたんこぶだけで終わった。
今回ボランティアでメイクを手伝いたいと名乗り出てくださった
NY在住のヘヤメイクアーティストの阪井さんのおかげで
堂々たる美しい礼子が出来上がった。
しかし、十分稽古できなかった彼女の緊張は本番前最高潮に達し、
本番5分前に「心配やからめまいの薬をのんでくるわ」と楽屋にもどったのを見て、
私も急に不安になった。もどってきた彼女の肩をさすり、手をにぎって「絶対に大丈夫やから」とささやきつづけた。
小さくうなずく彼女。でも、一旦舞台に上がった彼女の出来栄えは
今までの中で一番よい礼子を堂々と演じていた!英語の発音もきれいだった。あまりに夢中であがっている瞬間がないのだ。だんだん調子よくなってくる。声も十分出ている!袖中で私は感動していた!良かった!
いいぞ!サッチー!その調子!彼女の礼子は本番が一番のできだったと思う。いつでもすぐに「ごめんなさい」と謝るくせのある彼女に
もっとしっかりしてといつも心の中で叫んでいた。
でも本番の彼女は実に立派だった。シニアの値打ちがいかんなく
発揮された瞬間だった。
舞台の神様ありがとう!味方になってくださって!!
そしてずすしろの団員は全員無事に舞台をやりおえた。
同じ板の上にいたものだけが味わえる連帯感を全員が感じた。
2009年12月03日
この記事へのコメント
コメントを書く

